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「東京の中にあるアメリカ合衆国」

横田基地全景
画像提供:東京都 |
日本の首都である東京の中に巨大なアメリカがある。その大きさは東京ドーム153個分に匹敵する714ha。立川市、昭島市、福生市、武蔵村山市、羽村市、瑞穂町の5市1町にまたがり、約1万人のアメリカ人が居住する。その場所には通常、一般の日本人が足を踏み入れることはできない。この場所は「横田基地」と呼ばれ、現在は、米空軍により主に輸送基地(ロジスティックベース)として使用されている。
「1都8県にまたがる横田空域」
日本の中のアメリカは地上だけではなく空にも存在している。横田空域である。横田空域とは、首都圏の西の空を広く覆う米軍の管制エリアのことを指す。その範囲は1都8県(東京都、栃木県、群馬県、埼玉県、神奈川県、新潟県、山梨県、長野県、静岡県)にも及ぶ。そこでは日本の航空機は米軍の管制を受けない限り飛行が許されない。いわば横田空域は「空の外国」なのである。
「日本外交の象徴である米軍横田基地」
独立国である日本の首都東京にこのような巨大な空間が君臨している。日本と同じく第二次世界大戦の敗戦国であるドイツのフランクフルト国際空港は既に全面返還がなされている。しかしこれまで横田基地についてはっきりと問題提起をする政治家は皆無に等しかった。だが石原は違う。石原は国会議員時代から横田基地について返還および軍民共同使用を訴えてきた。軍民共同使用とは現在米軍機しか発着することのできない横田基地で、民間航空機の利用を可能にすることを意味する。
しかし返還のみならず軍民共同使用に関しても、外務省はそういった声があるにも関わらず無視し続けてきた。それは外務官僚の「よらしむべし、知らしむべからず」という思い上がりと、アメリカに対して面倒なことはしたくないという保身によるものなのだ。結果、占領軍駐留以降、横田基地はアメリカに独占され続けている。横田基地問題はまさしく日本外交の象徴であるのだ。
都知事選に打って出た石原は「米軍横田基地の返還」を公約として掲げた。本来ならば国が取り上げるべき問題にも関わらず、石原が横田基地の返還を訴える背景には、深刻な空港問題がある。
「パンク寸前の成田・羽田」
日本の首都圏の人口は約3300万人にものぼる。その規模は約2000万人が住むニューヨーク大都市圏をも超え、世界最大のメガロポリスであると言える。ところが人やモノのネットワークにおける重要な拠点にもかかわらず、海外の主要都市と比較しても、首都圏の空港機能の整備は遅れている。たとえばニューヨーク大都市圏には、ジョン・F・ケネディ、ラガーディア、ニューアークの3空港があり、国際線と国内線を合わせて合計9本の滑走路が使用されている。
しかし我が国の首都圏の国際線は成田空港の4000mの滑走路1本のみという状況が開港以来、24年の長きに渡って続いていた。当初は3本の滑走路の建設を予定していたが、用地取得をめぐる様々な問題、いわゆる成田闘争により、計画は頓挫したままだったのだ。
成田空港への新規乗り入れ待ちの航空会社は後を絶たないが、その中には荷物を乗せた航空機の乗り入れを希望する会社も数多くある。しかし成田にはそれらを受け入れるだけのキャパシティがないのだ。そしてそれは「2005年(平成17年)には国際線、2010年(平成22年)には国内線すらもパンクする」という深刻な事態に発展するに至ったのである。
2002年(平成14年)に成田空港に暫定滑走路がオープンしたが、一部未買収の用地があるため当初計画より短く、ジャンボ機が発着できないことを始め数々の問題を抱えている。暫定という言葉通り根本的な解決を図るものではない。
このような空港事情により、目の前にある多くのビジネスチャンスを失っているのが現状だ。これは明らかに国益の損失である。
東京圏には成田・羽田、そして本来、横田という空港がある。羽田は国内線に限定され、横田は米空軍に独占されているが、これら3空港をそれぞれの市場ニーズにそって最大限機能させ、増大する航空需要に応えていくべきだと石原は考えているのである。
「軍民共同使用のメリット −有事の際は軍用として−」
石原は横田基地の返還を最終目標としているが、それまでの間、軍民共同使用の実現を目指している。横田基地を空港として軍民共同で使用できるということになれば、26市3町1村、400万人で構成される多摩地域に住む都民のみならず、山梨・埼玉など近隣県に住む国民にとっても格段に利便性が向上することは間違いない。わざわざ成田や羽田まで移動する必要がなくなるのである。そして軍民共同使用が実現すると、国内線旅客だけでも年間200万人の利用が見込まれ、首都圏西部地域に様々な経済波及効果がもたらされるのである。

1999年6月2日
横田基地視察
画像提供:東京都 |
しかし2001年(平成13年)9月11日に起こった同時多発テロ以降、国際情勢は激しく変化している。今後、新ガイドラインが実際に発動された場合、自治体として、国そして最大の同盟国であるアメリカに協力する必要が出てくるだろう。軍民共同使用または全面返還がなされても、有事の際には米軍に空港の使用を認めるべきだと石原は考えている。石原は絶妙なバランス感覚に基づき、これまでアメリカに独占利用されていた横田基地を、日米双方にとってメリットがあるように活用しようとしているのだ。
「羽田空港国際化のメリット −横田に国内線の一部を回すことにより、羽田を最大限に活用する−」

羽田空港
画像提供:東京都 |
羽田空港には都内23区から最もアクセスしやすいだけでなく、夜間発着もできるという特色がある。しかしその特色も国内線に限られている現状では最大限に生かしきれない。
たとえば夜中に羽田を出発したとしても、沖縄にせよ北海道にせよ2時間もすれば現地に到着してしまう。このような時間帯の便には当然のことながらほとんどニーズがない。しかし国際線に関しては、このような時間帯にしてもニーズがある。特に貨物便の乗り入れに関しては尚更である。
現在、羽田の枠はほぼ100%使用されているが、そのうちの何パーセントかを横田に回し、その枠を国際線として使用することにより、増大する航空事情に応えていくべきだと石原は考えているのである。アメリカの大手宅配会社は、利便性の上から、成田ではなく、交通アクセスが便利で更に24時間使用することのできる羽田に乗り入れを希望している。羽田空港を再拡張し国際化することで、このような需要に応え、ビジネス的にも潤うことにつながるのである。
「世界最大のメガロポリス東京圏を最大限機能させるために」
空港問題とひとえにいっても様々なものが挙げられるが、結局のところそれは空港全体のキャパシティを増やし、増大する航空需要に応えていくということに収斂される。しかし成田闘争が象徴するように成田空港には問題が多く、首都圏の第三空港を新たに整備するにも時間的にも財政的にもコストが嵩んでしまう。米軍横田基地の共同使用と羽田空港国際化はともに、既存施設の有効利用を図るものであり、時間と税金の無駄を省く、極めて合理的な政策であると言える。
世界全体が時間的・空間的に狭小になっていく現在において、約3300万人もの人口を誇る世界最大のメガロポリスを、ただ人口だけが多い、不便な場所にするわけにはいかない。その潜在力を最大限機能させ、国益を守るために、石原は、国がやらなければ自らが行わなければならないという気概を持ち、国家レベルの課題に果敢に取り組んでいる。そこには福沢諭吉の言葉である「独立の気力なき者は、国を思うこと深切ならず」という精神が息衝いているのである。
詳細はこちらから
「東京都の米軍基地対策」
http://www.chijihonbu.metro.tokyo.jp/kiti/hyoushi.htm
「都市計画局」
http://www.toshikei.metro.tokyo.jp/

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