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「我慢の経験の重要さ」
ノーベル医学生理学賞を受賞したウィーン生まれの動物行動学者コンラート・ローレンツの主張の中に非常に興味深いものがある。それは「幼い頃に肉体的な苦痛を味わったことのない子供は、成長して必ず不幸な人間になる」というものだ。ここで言われている「肉体的な苦痛」とは幼児虐待などではなく、苦しい仕事、暑さ寒さ、ひもじさなどに対する我慢の経験のことである。
「脳幹の衰退がキレる子供を生み出す」

2000年2月25日
「子育てお母さん大集合−子どもの数ほど楽しく豊かに−」で講演
画像提供:東京都 |
我慢の経験というものは脳の中の「脳幹」という部分に大きく関わってくる。脳幹とは脳全体から大脳半球と小脳を除いた部分のことで、間脳・中脳・橋・延髄を併せてそのように呼ばれている。
脳幹の作用を具体的に著せば、「寒いときには身震いをし、暑いときには汗をかき、悲しいときには泣き、楽しいときには笑う」といったことになる。
要するに脳幹とは人間の行動原理の根底に関わる部分なのである。
ところが、様々な情報が氾濫する現代社会を生きる子供達は、大量の知識を詰め込まれ、結果、大脳ばかりが肥大してしまっている。それに付け加え、多くの家庭がしつけを含めた子供の人格形成までを全て学校に依存し、地域も他人の子供には全く関心を示そうとしない。
子供の教育の最終責任者はあくまで親であるということや、周囲の大人にも未熟な子供を叱る責任があるということは忘れ去られてしまっているのだ。
その結果、子供は我慢するということを教わることなく成長し、脳幹も衰退していくのである。脳幹の衰退は忍耐力を奪い、「学級崩壊」や「キレる」などの言葉が象徴するように、不安定な子供たちを多く生み出してしまう。
「社会の基本的ルール、正義感、倫理観を伝える運動」
石原は上述した認識に基づき、切羽詰まった状況を改善すべく、道徳教育の推進を公約に掲げていた。ここで紹介する「心の東京革命」とはその一環として、子供達に基本的な社会のルールや正義感、倫理観を伝えていく社会全体の運動のことである。
そしてそれは決して、家庭のみ、学校のみ、地域のみで行われるものではない。その3者が協力し合ってこそ、初めて成果が現れるのものなのである。運動の根幹を成す「心の東京ルール」では以下の7つの呼びかけが提唱された。
「毎日きちんとあいさつをさせよう」
「他人の子供でも叱ろう」
「子供に手伝いをさせよう」
「ねだる子供にがまんをさせよう」
「先人や目上の人を敬う心を育てよう」
「体験の中で子供をきたえよう」
「子供にその日のことを話させよう」
「脳幹のトレーニングに繋がることを期待して」
上記の項目を見て、どのように感じるだろうか?当たり前のことだと思うのか、それとも古びたものだと感じるのか、それは年代によって様々であろう。しかしこれらはそもそも人間としてごく自然な行いではなかろうか。そしてこのような「当たり前のことが当たり前に行われなくなってきている」ということこそに、現代の危機の本質があるのではなかろうか。
この運動は決して子供に嫌なことや苦しいことをさせるためのものではない。もし、それが目的となっているならば、この運動は虐待と変わらないものになるであろう。そうではなく、これらの経験を通して、我慢することの重要さを学びとってもらい、現代の子供達の痩せ細った脳幹のトレーニングに繋がることを石原は期待しているのである。
最新情報および詳細はこちらから
「心の東京革命」ホームページ
http://www.seikatubunka.metro.tokyo.jp/kokoro/index.html
「戸塚ヨットスクール」ホームページ(脳幹論について)
http://totsuka-school.jp/02_koutyou.htm

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