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「理想の救急医療体制とは?」
ここに小林という男がいる。彼は現在、都内で一人暮らしをしている学生である。草木も眠る丑三つ時、彼は突然の吐き気に襲われ、トイレに駆け込み、便器に顔を埋めている。胃の中は空っぽになったが、吐き気は一向におさまらない。彼は病院へ行くことを決心する。病院に着いたものの、随分と待たされ、その間に病状は悪化の一途を辿り、激烈な吐き気と、割れるような頭痛が襲い、卒倒する。
駆けつけた医者は彼を診察し、尋常ではない症状から、あらゆる病気を想定し、やっとその原因にたどり着いた。彼は脳疾患だったのである。早急な手術が必要であることは明らかだ。しかし病院には、ベッドの空きがない。それ以前に、当直医は1人であり、その医者もアルバイトの研修医だったのである。この病院ではとても対処することができない。医者は至急、救急車の手配を看護婦に促した。しかし救急車が指定の病院に到着した時には、既に彼の命は絶たれてしまっていた。
この話はあくまでもフィクションだが、このような病院は珍しいものではない。救急医療体制が整っていない病院では、生命の危機にあるような患者を受け入れることはできないのである。それでは具体的に上述したような問題を解決するためには、どのような体制が望ましいのだろうか?
最も重要な点は、「患者の側では自分の病気の程度を判断することができない」ということである。当たり前のことだが、患者は医者ではない。そのような視点から考えると、やはり、どんな患者でも受け入れ、診察の結果、各々の患者に適切な処置ができる体制が理想的なものであろう。
文頭で示した例でいえば、脳疾患と診断された時点で、緊急手術が施せる体制ということになる。このように考えてくると、何故、全ての病院でそのような体制をとらないのかという、単純な疑問が浮かび上がる。
それは救急医療体制の充実は病院にとって採算が悪いという一点に尽きる。要するに多くの医者を夜間・休日も確保しなければならないため、赤字になってしまうのだ。そのため当直医が1人から2人で、その人たちが患者の管理と、手術も担当するという、不十分な体制をとる病院が多いのである。
「365日24時間の救急医療 東京ER開設」

13年11月28日
「東京ER・墨東」オープン
画像提供:東京都 |
石原は上述したような問題を解決するため、かねてから公約として、救急医療体制の充実のために東京ERの開設を掲げていた。ERとはEmergency
Room(エマージェンシー・ルーム)の略で救急処置室という意味である。
東京ERとは、様々な症状に対して、診察・入院・緊急手術・救命措置などトータルな救急医療サービスを365日24時間、施すことのできる救急医療施設である。
「充実した医療体制 ER第一弾は都立墨東病院に」
第一弾は「東京ER墨東」として都立墨東病院に開設された。墨東病院には以前から、救命救急センターという、生命の危機を伴う患者の治療にあたるための体制が整っていた。そこに、初期救急患者(入院を必要としない救急患者)及び二次救急患者(入院・手術を要する救急患者)の初療を担当する「救急診療科」を新設することによって、あらゆる患者に対応することのできる体制を整えたのだ。新設された救急診療科では、内科系・外科系・小児科系を主体に専任医師を常時確保する体制がとられ、救急患者対応の診療室も3室から6室に増設された。
「数自体が少ない小児科の専任医師を確保」
特に小児科の専任医師が確保されていることは特筆すべきことである。小児は病状が急変する可能性が高い。それは子供の免疫機能が完成されていない故のことである。しかし小児科に対する需要は多いにもかかわらず、小児科医はその数自体が非常に少ないという問題があった。数自体が少ないということは当然のように、夜間・休日の救急医療体制の不備に繋がっていたのである。それは幼い子供を持つ親にとって非常に不安なことだ。
ERではそのような点も見据えて、小児科では夜間・休日は2人の医師を置いている。他にも「観察ベッド」が5床から10床に増設された。これは、ある程度時間を置かないと正確な診断を下すことができない患者の様子を見るためのベッドで、これにより症状が激変する可能性がある患者に対して早急な処置を施すことができる。
現在は、墨東病院以外にも、広尾と府中の都立病院にも東京ERが開設され、国に先んじて救急医療体制のモデルを発信している。
最新情報および詳細はこちらから
「東京都病院経営本部」ホームページ
http://www.byouin.metro.tokyo.jp/

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