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外形標準課税

「銀行業特有の事業の情況」

 個人も企業も行政サービスの対価として税金を納めている。しかし銀行業は業務上の利益は充分に得ているにもかかわらず、不良債権処理という、過去の事業運営の負の遺産によって、実際にはほとんど課税されることはなかった。結果、銀行業からの税収はバブル期の2200億円から100億円程度に落ち込み、税収動向は極めて不安定なものとなっていた。

 これは行政サービスのコストを負担していないに等しい。血の滲むような思いで税金を払っている国民がいる。しかしその中で銀行業は他人の金を預かり、座っているだけで利益を得ているのである。そしてその利益さえも、過去の負の遺産で帳消しにし、払うべき税金を払っていない。それに付け加え、国の政策もこれを助長するものであった。10兆円を越える公的資金という名の税金の投入と、ゼロ金利という資本主義に反する金融政策が銀行業の怠慢を促していたのである。

「真の地方自治の確立のために、自ら財源を確保する」

 石原の就任当時、東京都は財政再建団体転落の一歩手前であり、安定的な税収の確保が緊急の課題だった。「財政再建団体転落」とは民間企業でいえば「破産」にあたる。それは東京都が主権を失い、国の自治省(現・総務省)の管轄下に置かれることを意味している。
 そのことは「真の地方自治」を目指している石原にとって最も避けなければならない事態である。

「真の地方自治を確立するためには、自らで財源を確保しなければならない。このような状況下で、地方自治体が新たな税制を発信していくことは、停滞する国政を変える引き金として大きな意義がある」
 このような認識に基づき石原は、従来の方式ではなく、新しい課税方式を打ち出した。それが「外形標準課税」である。

「外形標準課税とは?」

 「外形標準」とは法人税のように所得ではなく、資本や売上高や面積といった企業の事業規模に課税する方式のことである。この政策では、都内で事業活動を行う資金量が5兆円以上の銀行等を対象に「業務粗利益」に税率3%(特殊法人は2%)を課税する。
 業務粗利益とは、人件費等の経費や不良債権処理による損失等を差し引く前の利益全体のことである。そして、この「業務粗利益」に課税するということが「外形標準」で課税するということだ。
 この課税方式により、これまで「帳簿上赤字とされていた銀行」からの税金の徴収も可能となる。それは安定的な税収及び、税負担の公平性を確保することに繋がるのである。
 課税対象を銀行業に限ったのは、文頭で示した「銀行業特有の事業の情況」を見計らってのことだ。地方税法第72条の19では事業税の特例として、電気、ガス、生命保険、損害保険以外の法人に「事業の情況に応じて課税できる」と定めているのである。
 この法律は要するに自治体独自の事業税課税権を保障するもので、今回の外形標準課税の導入で初めて発動されることになった。

「独自課税を検討する自治体が続出、国も外形標準課税を導入」

 外形標準課税はこれまで地方自治体救済の切り札と目されつつも、その導入は自治省(現・総務省)が50年以上も検討を続けてきたにもかかわらず、ついに成立することはなかった。石原はそれを就任1年でやり遂げたのだ。石原は野球にたとえれば、ヘッドスライディングのホームスチールのような鮮やかさでこの政策の導入に踏み切ったのである。

 その衝撃は政策発表後、各紙の社説が一斉に外形標準課税を取り上げたことが物語っている。地方自治体の政策を一斉に取り上げるなどということは異例のことである。当然のように、国、銀行界は強い反発を示した。しかしつまるところ、最後に審判を下すのは都民・国民である。国民は歓呼の声でもってこの政策を受け入れた。

 それを受け、都議会でも圧倒的な賛成のもと、異例のスピードで成立したのである。国に頼ることなく地方自治体が独自に財源を確保できることを見事に実証し、結果、大阪府も外形標準課税の導入に踏み切り、他にも独自課税を検討する自治体が全国で続出することになった。
 そして形こそ違えど国も長年検討してきた外形標準課税の導入についに踏み切ることになる。これにより2004年(平成16年度)4月1日から一般外形課税を資本金1億円以上の法人を対象に導入されることになる。

「真の地方自治を賭けた戦い」

 現在、東京都は条例の無効確認と納めた税金の返還などを求める18の銀行と係争中である。2002年(平成14年)3月26日の一審判決では都側が敗訴したが、判決後の記者会見で石原は即座に控訴の方針を表明。以下はその時の発言の要約である。
 「地方分権が進まない中、東京が引き金を引こうとしてやったが、その意思も無視された。日本の社会の流れ、歴史の必然性を全く斟酌しない判決だ。国民の意思も無視され、喜ぶのは銀行だけだ。とても承服できません。当然、控訴します」
 都では高裁での戦いに向けて、新たに五人の弁護士を加えて、プロジェクトチームを編成した。
 「東京から日本を変える」というスローガンに果敢に取り組んでいる石原の目指すものは真の地方自治である。戦後自治の歴史的認識を踏まえた冷静な判決が示されること願いながら、石原は真の地方自治を賭けた戦いに挑み続けている。

注意)現在は、最高裁で係争中。

最新情報および詳細はこちらから
「主税局」ホームページ
http://www.tax.metro.tokyo.jp/


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