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「アジアの共存共栄」
1989年(平成元年)の1月、ソニーの会長であった盛田昭夫と石原の共著である『「NO」と言える日本』が刊行された。日本国内のみならず、全米でも物議を醸したこの本は、アメリカに対して、盲目的な信仰を止め、必要以上に気兼ねせずに「NO」と言うべき時には言うという至極真っ当な主張が柱となっている。しかしその正当な主張が奇異に感じられ、物議を醸すほど、当時の日米関係は異常性を帯びていたのである。
その後も石原は、『それでも「NO」と言える日本』『断固「NO」と言える日本』『宣戦布告「NO」と言える日本経済』(以上、光文社刊)などで深い歴史認識に基づき、日米関係の矛盾点を鋭く突き、正常な日米関係とはどうあるべきかを訴え続けてきた。
刺激的なタイトルやマスコミのセンセーショナルな報道により、巷間、石原が反米主義者だと思われているきらいがあるが、そうではなく石原はただ当たり前のことを主張しているだけなのである。いわゆる「NOシリーズ」の中には、日米関係と同じく共通して取り上げているテーマに「アジアとの共生」がある。『「NO」と言える日本』の最終章は「日本はアジアと共に生きよ」である。現在、中国を始め、アジアの躍進が目覚しいが、10年以上前から石原は、アメリカ以上にアジアなくして日本は今後発展していくことができないと説いていたのである。
アジアの共存共栄を目的としたものに、以前マレーシアのマハティール首相が提唱した緩やかな地域共存構想であるEAEC(東アジア経済協議体)というものがあった。しかしながらEAEC構想はアメリカの強引な圧力により潰えてしまう。アメリカは自らは域内保護主義の匂いが濃厚なNAFTA(北米自由貿易協定)を創生したにもかかわらず、アジアの国々の連携に対しては妨害するという傲慢な態度を取ってきたのである。
「都市間外交−アジア大都市ネットワーク21」

2001年10月16日
「アジアと夢の躍動展」開催
画像提供:東京都 |
再び都知事として政治の世界に戻った石原は、長年抱き続けてきたアジアとの共生を都市レベルから構築していく大胆な外交政策を打ち出す。それがアジア大都市ネットワーク21である。
石原は以下のような認識に基づき新しい大都市間の国際協力体制を提唱したのである。
「世界の全人口の約半数が都市に住み、今後も都市への人口の集中は続くと予測されている。25年以内には世界の全人口の約3分の2が都市に居住すると言われている。都市の世紀とも捉えることができる21世紀に、アジアの代表的な都市が連帯し、共同で事業に取り組むことは世界的にも大きな意義がある。国家間では対立関係にある都市も、国という枠を越えた都市間のネットワークにより、政治的立場や文化・思想の相違を超えて協力関係を結ぶことが可能である」
「アジア独自の中小型ジェット旅客機を」
アジア大都市ネットワーク21の第一回目の本会議は東京都で開催され、共同提唱都市である東京、デリー、クアラルンプール、ソウルを始め、北京、ハノイ、ジャカルタ、マニラ、シンガポール、台北、ヤンゴンが参加し、本会議には水害の関係で欠席したバンコクを含め、計12都市でスタートを切った。会議の結果、アジア独自の中小型ジェット旅客機の開発促進を始め、インターネットを用いたアジア遠隔教育プロジェクト、低コストの超小型電気自動車であるシティビーグルの研究開発など計15事業に取り込んでいくことが決定した。
共同会見では北京の代表が「我が国からは二つの都市が参加している」と述べ、それに対して台北の代表は「中華民国(台湾)の首都である台北」を強調した。所謂「二つの中国」問題である。しかしながら両都市はアジア大都市ネットワーク21を通じて、政治的立場を超え、事業に共同参加することになったのである。これはまさしく国という枠を越えて行われる都市外交のなせるわざである。
「プロトコル(外交儀礼)ではなく具体的な取り組みを」
東京都ではこれまでも美濃部亮吉元知事や鈴木俊一元知事の主唱により、ニューヨーク、パリ、北京などの大都市と会議を開くなどして交流を行ってきた。しかしこれらの会議の趣旨は、首長同士の話し合いの中で各都市の問題解決について示唆を得るという曖昧なもので、特に具体性を持った話し合いや取り組みがなされるわけではなかった。その趣旨からも伺えるようにこれまでの都市外交は一種の儀式的な交流であったのが実情である。そのような姿勢では互いの親睦を深めることはできても、目に見える形での具体的な成果をあげることなどできるはずもない。
アジア大都市ネットワーク21では、上述したようなプロトコル(外交儀礼)ではなく、充実した具体性のある会議により、目に見える形での施策を展開していくことに主眼を置いている。そしてそのためには会議の回数を重ね、ネットワークを成熟させていくことが必要となる。アジア大都市ネットワーク21は今後も会場を変えて続いていく。
「マハティール首相の興味深いエピソード」
最後にマレーシアの類稀なる政治家であるマハティール首相の興味深いエピソードを紹介したい。以下はマハティール首相と石原の共著である『「NO」と言えるアジア』(光文社刊)の冒頭部分からの抜粋である。
「先の村山総理がマレーシアを訪問した際に、日本がいつまでも過去の戦争について謝り続けているのはおかしい、日本のかつての戦争に関する責任を問うならば、アジアを長きにわたって植民地化し非人間的な収奪と支配を続けた欧米の宗主国の責任はどうなるのかというマハティール首相の指摘は、世界全体の歴史を踏まえた正確で痛烈な発言です」
日本は確かに過去の戦争でアジアの国々に迷惑もかけただろう。しかしながらいつまでもそのことだけにとらわれ、形式的に頭を下げ続けるだけの姿勢では何の関係の発展も望めない。アジア大都市ネットワークを石原が提唱したように、このようなアジアとの共存共栄の姿勢を打ち出し、続けていくことでしか、過去の償いなどできはしないのではないだろうか。
最新情報および詳細はこちらから
「アジア大都市ネットワーク21」ホームページ
http://www.chijihonbu.metro.tokyo.jp/asianet/

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