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持つべきものは良き友とか、男の友情は、この世で最も美しきもののひとつ、などというが、それなら実際にそんな友人を持つことの出来た男がざらにいるものだろうか
持つべきものは良き友とか、男の友情は、この世で最も美しきもののひとつ、などというが、それなら実際にそんな友人を持つことの出来た男がざらにいるものだろうか。
心の友とか真の友情といった言葉は、いかにも膾炙されてはいるが、しかしまた本気でそれを口にすると、どこか気恥ずかしい気がしないでもない。
少なくとも、僅かでもそれをあてにした気持ちで口にすれば、それは乾いた大地に放り出された海月のようにたちまち水気を喪い風化されてしまうだろう。
なんであれ、年中友人を頼りにし、友情をあてにし生きているような男に、一人前の男はいる筈もない。
人間というのは、いかに親しくとも、そう年がら年中意気投合していられるものではないし、特に男の交遊は、親しい女同志のお喋り友だちなどとは違って、趣味的なものにとどまり得ないものだけに、指をからげ手をつなぎ、という形にはなり得ないし、またそんな必要もない。
『バカでスウェルな男たち』(プレジデント社)
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